目から鱗

サイドカーやトライクの製造過程やお客様に当社のことをより理解していただけるよう日々スタッフ一同心がけています。
そのような中での下記の経験や知識がお役に立てたら嬉しく思います。

 

フュージョントライクインデペンデントサス開発までの道のり
始まりは、親交の深いきゃぷてん社長さんがスカブ650をトライクにしてほしいという依頼からでした。
当初スカブやフォルツァをトライクにする場合、サイクルフェンダーが主流でしたが、スクーターだからカバードタイプにしたいというお話でした。
そこでいつものようにリジットのカバードタイプを作ろうと図面やFRPのボディを見ていましたが、
近年、独立懸架が中心であるため、どのようなスタイルや特性になるかは分からなかったものの一致団結しアイディアを出しながら製作しました。
出来上がってみると、乗りやすく思った以上に良い出来でした。
そこから、このスタイルを250ccにも生かせないかと考え、製作を開始しました。
当社は昔からフュージョンを改造していて特性を理解していたのもあり、この車両で第一号250ccトライクインデペンデントサスを作ることにしました。
検査対象外の250ccの車両寸法は、全長2500mm、全幅1300mm、全高2000mmに収まる規定があり、フュージョン等ビックスクーターの場合、
全長が長く、トライクにすると全長2500mm以内にすることが難しくなってきます。
しかし、規定がないととんでもない車両が出てきてしまうだろうし、悩んで考えるくらいが返っておもしろいこともあります。
今回のおもしろいところは、スクーターの後軸から短い距離にデフを付けることでした。
フュージョンは、ホイールベースが長く、ドラムブレーキですので案外やさしいですが、いろいろな理由からデフを車体の中心に持ってこようと
したので苦戦しました。
試行錯誤しながらもチェン、スプロケットから寸法が決まり、デフの中心が車体中心に一致し、コンパクトなデフが完成しました。
次は、ギア比の問題です。
250ccのスクーターはそう非力ではないですが、トライクは外径の大きいタイヤをつけることになるので加速が悪く感じます。
それを避けるためデフにくるところで減速することにしました。
これがギリギリのところで運よくうまくいきました。ありがたいことに良いチェンがありました。
半分くらい出来たところで試乗してみるとバネ下が少ないことがはっきり分かるくらいの違いで、2人乗りで路面の荒れたところを走ってみると
やっぱり独立懸架が良いなぁと再確認する出来でした。
うまく出来たと大変満足する仕上がりで、開発を重ねながら今後250ccトライク独立懸架が当社の主力商品の一つとなればと期待するばかりです。
センサースイッチのトラブル
普通のスイッチは、電源を入れたり、切ったりするのに使いますが、センサースイッチは物の動きで電気の有無を判断します。
ブレーキスイッチは、ブレーキがかかったときにブレーキランプが点きます。
通常、ブレーキレバーを握ると電気が流れ、握らない場合は電気が流れない構造になっています。
よくあるトラブルとしてブレーキランプの点きっぱなしです。
原因は、スイッチの動きまたはレバーの動きが渋くブレーキレバーが少し握っている状態になっていることがほとんどです。
この場合、CRCでびしょびしょにすれば直ります。
ブレーキレバーを握っていないのにブレーキランプが点きっぱなしと考えず、握っている状態になっていると考えれば納得です。
それだけセンサースイッチは、目で見てもあまり分からないくらいの動きで反応するほど精密なのです。
ブレーキの鳴き
ブレーキング動作により、パッドとローターが触れ、接触振動がローター本体により増幅され音となります。
このときローターそのものがスピーカーの役割を果たし、音が大きくなります。
接触振動をなくすことは、振動の波をずらしたり、低くしたりと簡単ではありません。
主な原因としては、
①ローターやパッドの荒れ
②ブレーキパッドの振動
③タイヤの振動
④ハブベアリングの振動
⑤グリス切れや劣化
<改善方法>
1 ペーパーで削り面を整える
2 パッドの裏面にグリスを塗る
3 空気圧のチェック
4 ハブベアリングにグリスを注入する
5 ローターやパッドを研磨あるいは交換する
ダンピングにより共振点をずらし、音の発生を抑えるか部品自体を交換する方法がありますが、
ローターを交換したことでブレーキが鳴くこともあります。
ほとんどの場合、乗っている間に馴染み、音がなくなる可能性が高いです。
ブレーキの鳴きといっても高周波~低周波までいろいろな音があります。
一概な修理があるわけでなく、それだけ奥深いのです。
リバースZ開発の道のり
ハーレーツーリングモデル用の後付バックギアです。
機械部分は、従来より定評のあるコンパクトDとほとんど同じです。
リバースZは、操作方法を簡単にし、さらにパワーアップした後付バックギアです。
違いは操作装置にあります。
以前の後付けバックギアは、前進ギアと後退ギアが同時に入り、操作手順を誤ることで破損してしまうこともありました。
そこで当社は、バックギアのシフト機構(バックに入れたり、抜いたりする操作部分)をモーターで動かすことにより前進ギアがバックに入って良い時だけバックギアに入るように制限しました。
従来のバックギアを入れるときのように前進ギアがニュートラルである、バックギアに入っているときは前進ギアに入らないと考えず、
逆にバックギアを入れるタイミングは前進ギアが入っている状態からニュートラルになった瞬間が一番良いと考え、この条件以外ではバックギアに入らないようコントロールしました。
これは、弊社のEZクラッチと同じ考え方でフライバイワイヤー方式です。
次にバックギアを抜くタイミングです。
後輪に力がかかっていないとき、あるいはエンジンの力でバックギアが押していないとき等さまざまな条件があります。
基盤であるコンパクトDは、機械的なリンクのおかげでどのタイミングでも充分にバックギアを抜くことができますが、衝撃の少なさやスムーズさ等あらゆる条件を考慮し、
前進ギアが入る寸前に抜くことが一番最良だと考えました。
もし「バックギアは壊れやすくて・・・」という考えをお持ちのお客様でも辟易なくお取付いただけます。
操作はとても簡単です。従来のバックギアの大きな課題であった前進ギアと後退ギアの二重噛み合いが全くありません。
1速位置でシフトスイッチを上げ、ニュートラル位置でバックする、といった単純な操作です。
通常は、1⇔N⇔2⇔3⇔4⇔5⇔6ですが、
シフトスイッチが上がっている状態では、1⇔R⇔2⇔3⇔4⇔5⇔6になるため噛み合いは全くありません。
緑のランプ点灯時、後退可能です。
前進ギアと後退ギアが同時に噛み合うことがなく、人為的な操作ではないため衝撃が少なく、高い耐久性があります。
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クラッチが重い
弊社のお客様は年配の方が多く、古いバイクが好きな方がたくさんいらっしゃいますが、よくクラッチが重いと拒まれます。
古い乾式クラッチのバイクは、とても重いものが多く、クラッチが引きずりギアを入れるときガチャンと壊れそうな音がします。
完全に切れるようにすると今度はクラッチが滑り気味になる、このくらいにするとたいていワイヤを引ききりものすごく重くなります。
ことによったらクラッチのプッシュロッドで引きずって、回っているクラッチをとめているのではないかと思うほどです。
半クラッチ状態の多いクラッチは、つながる位置も変動するものが多いため、クラッチのストロークを長く取るが、レバーの動きは手の大きさで決まっています。
結果レバー比が大きくとれずに重いクラッチとなるわけです。
このようなクラッチは、ワイヤの遊びもあまり取れず、年中調整して乗るようになります。
良いクラッチはストロークも小さく、半クラッチ状態は安定していて長く、切れている位置が固定しています。
このようなクラッチはレバー比が大きくとれて、位置も安定しているので、調整もあまりせずに、とても使いやすくなります。
どんなクラッチ操作ができたら、お客様に喜んでいただけるか、乗りやすいバイクになるか?
①何よりも重いクラッチを軽くする。
②半クラッチ範囲をなるべく広くし、操作し易くする。
③切れている範囲、繋がっている範囲を広くクラッチ寿命を短くする。
以上を開発目標にし、満足できる商品を販売しております。
EZステアにちなんで指1本で簡単にクラッチ操作ができる「EZクラッチ」が生まれました。
高品質そしてお手頃価格で提供させていただきます。
結構フシギなこと
エアー抜きもきちんとやったのになぜブレーキが利かないんだ!」
気のせいかなと思うこともあるかと思いますがそうではありません。
これらのことは、極端に出ると危険ですが、多かれ少なかれ発生し、気がつかないことが多いです。
サイドカーの試運転時によくあるブレーキの話に低速でハンドルから手を放し、わざとフレさせます。
止まるまでやって、フロントブレーキを握ると、ブレーキレバーがグリップにペタンと付くことがあります。
その原因は、フロントホイールベアリングのガタ、フォークの締め付け不良、ローターの変磨耗 、フレ、キャリパーの不良、等色々あります。
トライクなどではやはり後軸とかスイングアームピポットのガタを見るときに猛烈にゆすったりすると、リアーブレーキペダルがペタンと入ってしまったり、
ダブルに踏むと1回目と2回目では踏み代が変わります。
原因は、リアーのスイングアームピポットのガタや、またキャリパーにあり、ものによっては非常に大きく出ます。
左カーで後輪と連動するカー側ブレーキをもっている車で右へのアクセルターンやブレーキターンをした時、リアーブレーキペダルがペタンと入り、ダブルに踏むと普通に利くようになります。
原因は、カー側ホイールベアリングのガタ、キャリパーの不良、スイングアームの強度、マスタとキャリパーの面積比等によります。
強く出たり、分からない程度しか出なかったりします。
本当は、これらのことが全て正常でも、ある程度のねじれ、そしてハンドルのフレからキャリパーピストンが戻ります。
その結果パットが開き、その分を押すだけレバー等が遊ぶことになります。
これを改善するにはシールの交換と、それにたとえディスクブレーキでも、残圧バルブをつけるのは効果的です。



ハンドルのフレ Ⅰ
EZステアは、ハンドルを軽くし、フレを少なくするのに役立ちますが万能ではありません。
本来ハンドルにくるフレの原因は、フレームの剛性の問題、その他の箇所の遊び、アライメントの不適切、タイヤ、その他さまざまな原因によって発生します。
これらの原因で発生するフレを少なくすることができますが、完全になくなるわけではありません。
付けたことで少し良くなったかなというものではなく、劇的な改善が期待できるのは確かです。
ハンドルのフレ Ⅱ
「フレを少なくするには、ハンドルを固定するのか?でもそしたら重くなってしまうのではないか?」という疑問を感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。EZステアは、トレールを変更する加工です。
少々の改造をしたところで、そんなに剛性があがるわけではありませんので限界があります。
それで4輪用のタイヤを前輪に履かせたりすると、ハンドルが重くなったり、またフレるようになったりします。
それはキャスター角の問題も絡んでくるからです。
バイク用のキャスター角では難しく、色々やってみるとやはり3輪用のキャスター角が必要になるようです。
そこで単に4輪用のタイヤが格好いい、ヘリが少ないからという理由で、はかせると痛い目にあうわけです。

ハンドルのフレ Ⅲ
本来、サイドカーの重心は駆動中心とは進行方向でずれています。
それは、バイクと違い、左右非対称だからです。
そこで、4輪のようにキングピン角度、またはタイヤにキャンバーをつけたらうまくいくかな?と思いますが、
そーと走っているときはうまくいきますが、加減速中はフレずにまっすぐ走ってくれない、それがサイドカーの面白さでもあります。

 

ハンドルのフレ Ⅳ
昔はこれが一番厄介な修理で、位相がずれて発生してしまうというものです。前述にもあるようEZステアをつけるとハンドルが軽くなります。
いつもの力でハンドルを操作すると・・・たとえば左に曲がろうとしてハンドルを左に切ります。軽いので余計に切りすぎ曲がりすぎます。
そこでハンドルを戻しますが戻しすぎて、そこでまたハンドルを切ります。ですが遅れての操作ですので、これを繰り返してしまいます。
すると、フラついてしまい、EZステアなしで乗っていただいていたお客様からすると乗りにくいと感じます。
初めはEZの設計ミス(計算ミス)かと随分心配しましたが、今ではEZステアの特性をご理解いただき、購入当初から付けていただける信頼性の高い人気商品の一つになりました。

カチカチ音
出かけようとして走り出したらカチカチと音がする、昨日はなんでもなかったのにどうしたんだろう?というお電話です。
この場合、石がタイヤの溝に挟まっている可能性が高いです。
乗り方とセッティング
サイドカーを作る際、要となるリード(=後輪と側車輪の前後方向の距離)ですが、リード30cmや40cmと大きくするとハンドルが重くなる、曲がらなくなる等気にしますが、全くそのようなことはありません。一方、リードを小さくするとどうなるか?ハンドルを右に切った時、前輪が一つない4輪車の構造ですので、後輪が持ち上がり厳しい思いをします。イオタⅡ程度のカーでリードを大きくし、左に曲がるとハンドルの切れ角が小さい範囲では確かにハンドルは重くなりますが、大きく切っていくとそれ以上重くはなりません。
これは側車輪のすべり角が軽二輪側車付の範囲では、ハンドルを切っていくとすぐ8度を超えて、それによるコーナリングホース(ハンドルを切り、クルマを旋回させる際に生じる横向きの力)は1.2×垂直荷重で一定になるからです。また、ちょっと速度を上げてコーナーに入れば側車輪の垂直荷重は減少するので(0にまでなる)全く重く感じないはずです。もし、重いとすればリードの問題と考えるよりもトレールの問題とすべきです。
余談ですが、サイドカーが左に曲がるとき、ハンドルをカクカクカクと多角形に切るとよく書いてありますが、それによって側車輪荷重が減少し、結果、後輪よりもすべり角が先に増加し、グリップを失い滑り出すのでバイクの横滑りと同じように曲がると考えます。右に曲がる際は、どうでしょう?少し様子が違います。リードを増やしていくにつれてハンドルが重くなります。したがってトレールの値を注意して考える必要があります。トレールを小さくすると下り坂では、急に減少しマイナスになることがあり、右回りだからといって安易にハンドルを切ると急にハンドルが切れ込み怖い思いをすることあるのでトレールを小さくするのは限界があります。ですので、トレールは通常値にし、乗り方で解消します。まず、右に気楽に切りたい時は、ハンドルを右に切ると同時にアクセルを戻します。
すると後輪のグリップが減少し(静摩擦と動摩擦の違い)側車輪はまだ曲がってないのですから、急に側車輪を中心として旋回します。アクセルを開けば、後輪がグリップを回復し、その時の前輪の方向に進み出します。そのため、右回りはハンドルをカク ウオン、カク ウオンとやることになります。本来、サイドカーの右回りは、左に比べて回転半径が大きいのですが、結構小さく曲がります。(そのためタイヤの減りが心配です。そこで、側車輪のグリップも程々が良いと細いタイヤを選んでいます。)でもいつもはそんなに急に曲がる必要がないと思うので、リードを大きくしても普通にハンドルを切ってもそんなに重くなく操作できますし、サイドカーは右回りの方が左回りより大きく曲がるに決まっています。

 

構造変更って・・・
お客様のバイクをトライクやサイドカーに改造するにあたって、二輪自動車→側車付二輪自動車へ登録変更しなければなりません。
その際、改造自動車届出書や改造概要等説明書等を陸運局に届出て通過後、検査します。そして事前予約をし、実際に陸運局に改造後の車両を持ち込み、検査を受けます。(251cc以上の場合)書類に書いてある内容と実物の車両が合致するか、保安基準に適合するか検査します。制動装置や灯火類、排ガス等さまざまな規定をクリアし、合格したバイクをお客様にお届けします。その後、自動車検査証の車体の形状が側車付オートバイになり、違反改造ではなく保安基準に適合したトライクやサイドカーになります。検査を合格した上で、公道を安全に走れるトライクやサイドカーが完成します。
サイドカーのハンドルが右に曲がってしまう
ハンドルが勝手に右に曲がってしまう...運転操作に間違いはないのに...と疑問を感じる方もいらっしゃるかもしれません。サイドカーは、二輪やトライクと違い、重心と駆動中心がずれています。二輪車の場合、前輪と後輪を結ぶ線上(左図水色線)に重心が存在します。(静止していて、体重移動等が生じない場合)そのため、ハンドルをまっすぐ保てば左右にかかる力が均等になり、直進できます。対して、サイドカーの場合、側車輪と後輪を結ぶ中心から前輪に向かい右に曲がる力が発生します。黄色円の中心がサイドカーの重心であり、たいていの場合中心からサイドカー側に20cm程ずれています。そのため、ハンドルをまっすぐにしていても右に曲がってしまうのです。サイドカーは左右非対称であるため常に曲がろうとする力が生じています。ですので、ハンドルをまっすぐにするだけでは、重心がサイドカー側にずれているため直進できないのです。
そこで、前輪のみ見てみると、重心と駆動がずれているため走行抵抗が発生し、ハンドルが右寄りに傾いてしまいます。前に進もうとする駆動力とそれに平行な逆向きの力である走行抵抗が働き、偶力が発生します。これにより、まっすぐハンドルを動かしていても時計回りに回転してしまうのです。初めてサイドカーを運転する際は、ハンドルを力強く持ち、操作しているのでもしかしたら気づきにくいかもしれません。
だんだんと運転に慣れてくると肩の力が抜け、楽に運転できるかと思います。すると、ハンドルを握る力が抜け、右に車体が曲がることに気づくかもしれません。故障かな?と感じてしまう方もいらっしゃるかと思いますが、サイドカーの特性でもありますので、ぜひ安心してお乗りくださいませ。それでもやはり気になるというお客様はぜひ一度ご相談ください。

デュアルドライブの差動装置(デフ)について
インターナルギアを固定し、キャリアを右に1回転させるとプラネタリーギアが回らない場合、キャリアが1回転するためサンギアも右に1回転します。
実際は、外側のインターナルギアは左に60歯分回るので、サンギアはさらに右に60(インターナルギア歯数)÷30(サンギア歯数)=2回転します。
よって合計3回転することになります。

もし・・・インターナルギアが右に1回転したとするとプラネタリーギアは右に60歯回るので、この場合サンギアは2回転戻され、1回転しかしない=キャリアと一緒に回っています。また1.5回転インターナルギアを右に回したら、60+30=90歯戻されるのでサンギアは全く回転しません。
<結論>
以上のことから、この機構はキャリアとサンギアの変速比がインターナルギアを単位時間当たり0~1.5回転(例0~1.5rpm)するとキャリア回転速度に対して3~0まで回転速度が変わる変速機ということになります。
次にサンギア固定でキャリアを右に1回転すると、プラネタリーギアが回らない場合、キャリアが1回転するためインターナルギアが右に1回転します。
実際は、サンギアによりプラネタリーギアが30歯右回転するので、半回転+1回転=1.5回転することになります。

もし・・・サンギアが右に1回転したとするとプラネタリーギアが左に30歯回るのでこのときは半回転戻されインターナルギアは1回転しかしない=キャリアと一緒に回っています。
また3回転インターナルギアを右に回したら、90歯戻されるのでサンギアはキャリアに対して全く回転しません。
<結論>
以上のことから、この機構はキャリアとインターナルギアの変速比サンギアを単位時間当たり0~3回転(例0~3rpm)するとキャリア回転速度に対して1.5~0まで回転速度が変わる変速機ということになります。

トルク配分
同じキャリアに対しての速度比は、インターナルギア:サンギア=1.5:3になり、トルクの場合はその逆の3:1.5=2:1になります。
後輪:側車輪=2:1にトルク配分します。

直進状態では、キャリアと一緒にギアが回り、中で全く動かないのでロスがありません。

当社ハーレーサイドカーは、トレッド約1300mm、重心位置がバイクから450mm程度にありますので、後輪:側車輪=850/1300:450/1300=2:1にトルク配分しています。
これでアクセルを戻すと時速60km/h=530rpmハーレーのアイドリング回転を1000/4=250rpmですので、サンギアはインターナルギア固定でキャリアは250rpmインターナルギアは530rpm回っています。なので、キャリアからは右に250+250*(60/30)=750rpm回されます。
また一方インターナルギアからは250-530*(60/30)=-810rpm回るので、結果60回転の速さで逆転します。
この状態で側車輪を地面に落とすと急激に正回転530rpmになるので、危険です。

もし、100km/hだとすると6速状態の可能性が高いので、ギア比2.9ぐらい100*1000/60/3.14/0.6=885rpmアイドリング時は345rpmサンギアはインターナルギア固定でキャリア345rpm、インターナルギアは885rpm回っているのでキャリアからは右に345+345*(60/30)=1035rpm回されます。
また一方インターナルギアからは345-885*(60/30)=-1425rpm、左へ1425rpm回るので、結果-390回転の速さで逆転します。
この状態で側車輪を地面に落とすと急激に正回転885rpmので、その差1275rpmです。後輪は煙を吐いてカー側にハンドルがとられ左カーでしたら、左に急にハンドルが転覆してもおかしくありません。
人もデフもかなりのダメージを受けることになります。