トライクの運転の仕方

トライクとは、一般的にバイクの後輪を外しデフ(差動装置)を付け、 後輪を2輪に改造した3輪車をいいます。
この車は加速のよいバイクの特性と転倒しにくい4輪車の特性を持ち合わせています。
基本的には左右対称にできているので、サイドカーのようにアクセルの開閉によって車体が左右に振られることはありません。

問題はコーナリング時です。

トライクはバンクしません。このため、たとえ交差点で左折しようとしても2輪車と同じ感覚の速度でコーナーに進入してはいけません。 左折しようと、多少オーバースピードでコーナーに進入したとします。コーナリング中、旋回の内側にある左側後輪が浮き気味になります。もっとオーバースピードになると、図1のように左側後輪は完全に路面から浮いてしまいます。

図1

 

片輪が浮いた場合、デフの作用によって(ノンスリップデフではないため)接地している側の車輪にはトラクションが掛からなくなります。浮いた側の車輪は逆回転を始めます。この浮いた車輪は接地したときには正回転をしますが、今まで逆回転していたシャフトがタイヤからのトラクションにより急に正回転に持っていかれるので、通常の2倍のトルクが掛かることになります。運転者が危険なのはもちろんですが、車両にとっても好ましくありません。

 

 

4輪車の場合は左側後輪の浮きは対角線上の右側前輪が支えます。しかしトライクには右側前輪というものはありません。コーナリング中、左側後輪が路面から完全に浮くほどのオーバースピードであれば右斜め前方に投げ出されそうになり、 下手をすると右斜め前方に向かって横転します。コーナーの進入時には十分減速する必要があります。また車輪の浮きを抑えるために体重移動も効果的です。このように安全に曲がるためには、図2のようにコーナリング時のアクセルワークや体重移動が重要です。

図2

 

またバンクしないため、2輪車とはハンドル操作も違います。 2輪車はコーナリングする時にバンクして、ハンドルを切る量もわずかです。
トライクは曲がるためには、曲がる分だけハンドルを切る必要があります。トライク、サイドカーは曲がるためにハンドルを腕の力で切ることになります。そのためハンドルの重さが操作に響くためEZステアをおすすめしています。

ブレーキ操作も重要です。ブレーキ系統は基本的に2輪車のもの、そのままを使用します。 2輪車のブレーキ系統は4輪車と違い、前輪と後輪とを意図的に別々に効かせることができます。(コンビネーションブレーキの車両除く) 基本はフロントブレーキをメインで使うことです。
通常、2輪車のリアブレーキはフロントブレーキに比べて貧弱です。

 

当社でトライク製作にあたり制動能力が足りない等、必要であればリアブレーキを強化しますが、 通常、ブレーキは前後共、ブレーキディスク、キャリパー、パッドも含め2輪車ノーマルを使用します。
リアブレーキがドラムブレーキの場合でも、制動能力が足りていれば、ドラムブレーキのままです。

 

フロントブレーキをメインで使うようにお勧めする理由がもうひとつあります。フロントブレーキ部分は改造しないため、2輪車のときと構造が同じで、近くのバイク屋さんでもブレーキパッドやディスクの交換も可能です。リアブレーキも2輪車のときと構造は同じですがサイクルフェンダー仕様でなければボディで隠れていることが多く、交換も点検も大変です。その点フロントブレーキは露出しているので交換、点検も楽です。

ぜひ試乗にお越しくださいませ!!心よりお待ちしております♪