デュアルドライブサイドカーは、バイクの前輪の位置に対して後輪がどの位置にあるかによって2つの種類に分けられます。
①サイドカータイプ
バイクの車体の中心線上に後輪があり、前輪、後輪、側車輪は普通のサイドカーと同じ配置になっています。 |
外観の特徴
車輪の配置が普通のサイドカーと同じなので、外見からは普通のサイドカーとほとんど見分けがつきません。まとまりがよく、サイドカーの持つ上質でスマートな印象を受けます。 下から覗くと側車輪を駆動するドライブシャフトと差動装置が見えるのが普通のサイドカーとの外見上の違いです。後輪も側車輪も普通のサイドカーと同じく2輪車用のタイヤを装着するのが一般的です。 |
運転の特徴
外見のとおりサイドカーの特徴を残していて、サイドカーと同じように左右で旋回時の特徴も異なります。側車輪を浮かしての走行やブレーキターンやアクセルターンなどもほぼサイドカーのように出来ます。
重心位置は普通のサイドカーと違って側車の浮きはほとんどありません。
サイドカー特有の運転の難しさを取り除き、サイドカー本来の楽しさを残した運転の感覚になります。
機構の特徴
側車輪はほぼ2対1にトルク配分した「遊星歯車機構」を用いた差動装置を介して駆動されます。側車輪は後輪の約半分の力で駆動されます。これは駆動力の中心をできるだけ車両の重心にもっていくためで、後輪と側車輪の駆動力の配分を2対1にしています。これにより自然な運転特性を得ることができます。
遊星歯車機構を用いたことにより差動装置を小型、軽量化することに成功しました。250ccクラスのスクーターから1800ccクラスの大型車まで応用できます。
↑<HD遊星歯車機構>
②トライクタイプ
バイクの後輪が前輪と一直線ではなく、トライクを左右非対称にしたようにバイクの後輪は、側車が付いている側とは反対側の外側にずれて配置されます。 |
外見の特徴
運転の特徴
サイドカーよりもトライクの運転特性に似てきます。重心位置が後輪と側車輪のほぼ中央にあり、左右で旋回時の特性もほぼ同じです。トライクのように運転は簡単ですが、一般的に幅が広くなるので車幅の感覚には注意が必要です。とても軽快な運転が可能です。
ただし、側車輪を浮かしての走行、ブレーキターン、アクセルターンなど、サイドカーのような運転は難しくなります。
機構の特徴
差動装置は4輪車と同じ1対1のトルク配分のものを使用しています。側車輪は後輪と同じ力で駆動されます。これは駆動力の中心をできるだけ車両の重心にもっていくために、後輪と側車輪の駆動力の配分を1対1とし、前輪に対して後輪の位置をオフセットしています。これにより自然な運転特性を得ることができます。
この差動装置はベベルギアを用いたもので、普通の4輪車と同じものを使用しています。製作の実績も多く信頼性が高いのですが、差動装置のケースがストレートタイプのデュアルドライブサイドカーで採用している遊星歯車機構を用いたものよりも大型で重くなるため、大型車向きの機構です。
後輪を外側にずらして配置するために後輪の駆動軸は元々の後輪の位置から約210mm後ろに移動します。この210mmのホイールベースの延長は、1対1のトルク配分と相まって直進安定性を高めています。
どちらのデュアルドライブサイドカーも以下の特徴を持っています
普通のサイドカーはアクセルによる加速時に側車側へ、そしてエンジンブレーキによる減速時にはバイク側へハンドルがとられます。デュアルドライブサイドカーは加減速時に起こるサイドカー特有のハンドルをとられる動きが、後輪の位置や差動装置による駆動力の適切な配分によってほとんど発生しません。
左右の旋回も差動装置の作用でスムーズです。また側車輪を駆動するので、その機構が組み込んである重量の分、側車側を重くできるので旋回する時に側車が浮きにくく、この点でも旋回がしやすくなります。
普通、サイドカーというものは側車が付いている側への旋回は、側車が旋回の軸になってくれるため、易しいのですが、側車が付いていない側(バイク側)への旋回は、側車を大回りに引っ張らなければならないため大変重くなります。このデュアルドライブ方式はバイク側への旋回も側車輪を駆動しているので軽く旋回することができます。
車輌法上はサイドカーやトライクと同じように“側車付オートバイ”ですので、税金、保険等、諸費用は普通の2輪車と同じで経済的です。道路交通法の区分ではトライクと同じ“三輪車”の扱いになり、運転免許は「普通自動車」が必要です。ヘルメットの着用義務はありませんが、安全のため着用をおすすめしております。
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