動中心はバイクの中心線上にあり、車体の重心は駆動中心よりサイドカー側にたいていの場合、20cm程度ずれています。 走行抵抗はセッティングにより重心軸上に合わせてあります。(ニュートラル状態では手を放しても直進します)その結果、非常に変わった運転特性を持っています。
サイドカーは、左前輪が無い4輪車のようなものですから、異常な右旋回ではサイドカー輪と前輪を軸にした線を中心として転覆しやすくなります。
また異常な左旋回では、重心位置が外側に近いため、内側が浮きやすくなります。 転覆する角度を計ってみると、右への角度は約28度、左への角度は45度以上にもなります。このような特性は、ブレーキング時にも現れますし、アクセルの開閉時にも強く現れます。
[ゆっくり走る]
アクセルもクラッチ操作もそっと、静かに操作します。
すると、サイドカーはまっすぐ走り出します。もし左右に動くようでしたら、それは操作が荒すぎます。
ブレーキもスムーズに、そして静かにかけます。するとサイドカーはまっすぐ止まります。
[まっすぐ急発進の仕方]
最初はアクセルを少し開け、静かにクラッチをつなぎます。そしてクラッチがつながりきったら、強く急にアクセルを開けます。このときアクセルを回している間に(例えば、0から1/2回転までアクセルを開ける)ハンドルを右に切り、そして元の直進状態まで戻します。どこまで(どのくらいの角度)右に切りどこで戻すかは、主にアクセルを開く速度により決まります。
このような操作をすることによって、サイドカーはまっすぐ走りそして自分の思ったとおりの加速ができます。サイドカーが左に曲がったとすれば、それはハンドルを切っていく速度がアクセルの開ける速さより遅かったためです。
アクセルを急に開けると、加速をするための駆動力の軸方向は、バイクの前輪と後輪を結ぶ軸上で前向きです。また、重心位置が前に述べたように、20cmほど左側にあり走行抵抗の向きは後ろ向きです。
そのため無作為にアクセルを開ければ、必ずサイドカーは多かれ少なかれ左に曲がってしまうものです。
サイドカーが右に曲がったとすれば、それはハンドルを切っていく速度がアクセルの開ける速さより速かったか またはたいていの場合、ハンドルを戻すのが遅かったために起きたことです。これは当て舵が強すぎた(きる量が大きかった)のではなく、ハンドルを切る速さと戻すタイミングが、アクセルと合っていないためです。
[急ブレーキをかけまっすぐ停止する方法]
20~30km/hの速度で走行状態から、前輪ブレーキを強くかけると、船側に振られるためハンドルを右に切り、そしてブレーキを放しながらハンドルを直進状態に戻します。もっと早い速度では、サイドカーの姿勢を保つために後ろのブレーキを少しかけます。これでサイドカーは、まっすぐ止まります。
しかし、これは急加速のときより数段難しい操作で、エンジンよりブレーキのほうが、2倍以上大きな減速度が得られるので、
アクセルより瞬間的かつ微妙な操作が要求されるからです。
実際は、路面、タイヤ、乗車位置、人数等によって制動力、重心位置が、高さを含めて変わるため、さらに瞬間的な判断が要求されます。
そのため側車輪にブレーキを付けることによって、制動操作を少しでも易しくし安全に停止できるようにする場合もあります。
[右旋回の仕方]
右旋回は旋回に入る前の速度より、少し減速しながらハンドルを切っていきます。こうすることによって、サイドカーが前に出ようとする力を利用して操舵力を軽くし、無理なくスムーズに回ることができます。このときにアクセルを開けるとバイクは、駆動力の方向と走行抵抗の関係で左に曲がろうとするのでハンドルが重くなります。
↑右旋回時の良い姿勢例
またハンドルを戻して直進状態に入るときは、アクセルは少し開けます。これによってサイドカー部分は、後ろに引かれハンドルが自然に戻ります。
このとき、反対にブレーキをかけると、サイドカーは、右に曲がってしまい、ハンドルを戻すのに強い力が必要になります。
万が一、まずい操作をしなければならなくなってしまったら、どちらの操作を優先するべきかを考えます。 例えば、まずブレーキの場合ハンドルを一瞬まっすぐにしてブレーキを強く短時間に必要なだけ使い、ブレーキを放しながらハンドルを右に切ります。こうすることによって、ハンドルをこじることなく、軽く必要なハンドル操作と、的確で充分なブレーキ操作ができることになります。このように、各々の装置がお互いに独立できず、補正しあって成り立っているサイドカーの運転には時間差が必要なことが多くあります。よくサイドカーは、旋回するのに多角形的に曲がるというのはこのようなことを連続的に行っているからです。
ここで一番‘危険な状態‘の話をします
無理な速度で急な右旋回を行おうとすると、サイドカーは車輪の中心より上に重心の高さがあるので、 前輪と側車輪を結ぶ軸を中心として、後輪が持ち上がり転覆しようとします。こうなると、これを回復させるための駆動力も後輪の制動力もまったく効かなくなり成すすべもありません。
このときハンドルを左に切りブレーキをかけないで運良く回復するのを待つだけになります。ですが、たいていの場合道路を飛び出してしまうか、転覆してしまうかのどちらかになってしまうことになります。このような事態を招かないためには、下り坂での無理な速度で急な右旋回または、右旋回中のブレーキは決してしてはいけません。リヤーサスペンションが伸びきる右方向へのブレーキターンも、路面に充分注意して、タイヤが当たらないようにしなければなりません。
[左旋回の仕方]
左旋回は、少し加速しながら、ハンドルを切る必要があります。
サイドカーの船の部分が後ろに行こうとするので、結果サイドカーは、もともとハンドルをきらなくても左に曲がっていこうとしますから、
それに加えて、ハンドルを左に切れば、まるでパワーステアリングのようにスムーズに軽く、糸を引いたようにきれいに曲がっていきます
↑左旋回時の良い姿勢例
これはうまくいったときの話で、外れるととんでもないことが起きます。 例えば、少し加速しながら、余計にアクセルを開けた場合にはサイドカーは左に曲がっていきますし、ハンドルも勝手に切れていきます。その結果どんどん小回りになっていき、図1のようにサイドカー側の車輪が最悪浮き上がり今にもバイク側に転覆しそうになります。
図1
この場合、ハンドルを右に切りアクセルを戻せば、簡単に回復します。サイドカーの車輪が浮いてきた場合は、まずハンドルを少し右に切りアクセルを戻しブレーキをかける、タイヤが地面についたら、アクセルをまた少し開けハンドルを右に切って右に曲がっていきます。
これを組み合わせたりタイミングをわざとずらしたり、路面の状態や、ドライバー、パッセンジャーの体重移動も加えると左右へのブレーキターン、アクセルターン、ドリフト等たくさんの動きをさせることが出来ます。
危険な例も説明してきましたが、理屈や体で理解することでバイクとはまた違った楽しさが見えてきます。
ぜひ試乗にお越しくださいませ!!心よりお待ちしております♪